その他の諸課題

 民主主義国の政治では、政治家と官僚の関係も大きなテーマである。安倍長期政権の下で、2014年5月30日に内閣人事局が設置され、幹部官僚の人事を首相官邸が握るようになった。そのため、官邸主導の政治となり、プラスもあった反面、マイナスも目立った。

 多数の政党が参加する連立政権の場合、政党間の妥協が必要なので、政治家が官僚を支配するような状況にはならないであろう。したがって、官僚が主導する政治となる可能性が大きい。

 複数の政党で政策を策定する場合、どうしても専門知識を持つ官僚に頼らざるをえないことになる。それは、官僚主導の政治へと繋がる危険性を孕んでいる。

 そのような事態に陥らないためには、政党自身の政策能力を高めなければならいが、自民党ですらその能力はない。一党優位制の下では、官僚機構を政策作りの手足として使ってきたからである。それは、自民党政調の部会に参加するとよく分かる。

 多数による連立の場合、たとえ小党でも政策策定能力を欠いていると、官僚の意のままに操られることになる。

 アメリカ議会のように、議員が何人もの政策スタッフを持つようにしなければならない。日本の国会議員の公設秘書は3人で、1人は政策秘書であるが、その名称通りに活躍している政策秘書はほとんどいない。この点での大改革が必要である。

 私も、現役議員のときは、優秀な官僚を呼びつけて、政策論議をして、素案を作らせたものである。国会議員の公設秘書は、次の選挙に備えて、地元からの陳情などに忙殺されている。

 以上のように改革すべき点は山積しているが、連立の時代を前に、一刻も早く改革を進めねばならない。