以上、戦後の日本政治史を振りかえると、2回の政権交代はあったが、自民党が支配的政党であり続けてきたことは事実である。
しかし、石破政権の下で、昨年の衆院選、今年の参院選と敗北し、第一党の座は維持したものの、少数与党として政権運営に苦労しているのが現状である。
今後、どうなるのか。高市政権が、国民の期待に応えるような大成果をあげ、次の総選挙で大勝し、単独過半数を獲得するようなことがあれば、自民党の一党優位制は続いていく。
しかし、私は、その可能性は小さいとみている。むしろ、野党の立憲民主党のほうが議席数で上回り、第一党になる可能性がある。そして、そのような状況は続いていくのではないか。自民党が支配政党の座を降りていき、再び返り咲くことはない。政権交代となるかどうかは、他党との連立のあり方次第であるが、日本も一党優位制が終わるということである。
まさに、戦後日本政治の大きな転換点である。
自党の政策に固執しすぎた玉木氏、細川連立政権で8党派が一致した政策目標は…
今の日本で起こっているのは、多党化、小党分立である。自民党は、今回は維新と連立政権を組んだが、衆参両院とも過半数には満たない。安定した政権基盤を構築するためには、他の政党にも加わってもらうしかない。
オランダ、ベルギー、イスラエルなどでは、3党以上が参加する連立政権が普通である。政権に参加する政党数が増えれば増えるほど、連立政権交渉は難しくなる。政策の調整が困難になるからである。
したがって、何カ月も政権が発足しないという事態が生じてしまう。半年間も交渉が続くこともある。
日本でも同じような事態が生じることを想定しておかなければならない。今回の連立政権交渉で、国民民主党の玉木代表は、自党の政策に固執するという致命的な失敗を犯した。これでは、他党と手を組むことはできない。3党以上の連立の場合、何を最大公約数、あるいは最小公倍数にするのか、取り下げても良い政策のリストを用意しておかなければならない。つまり、政策の優先順位である。
今回の自民党との連立交渉で維新が提起した議員定数削減要求などは、いわば単なるディールであり、オランダなどの連立政権交渉とは異なるものである。