指名見送り、との憶測も

 高校時代から打撃で高い評価を得ている佐々木選手だが、一塁に限定される守備や走塁で課題を指摘する声は多い。ところが、ここにきて“追い風”となっているのが、27年シーズンからのセ・リーグでのDH(指名打者)制の導入だ。27年シーズンに照準を合わせれば、時間的猶予がある。

 各球団がスカウト会議などで指名リストを絞り込む中で、ドラフト前日の22日時点でまだ指名を明言している球団はない。複数のメディアが、ヤクルトが佐々木選手を指名候補にリストアップしていることを報じている。ヤクルトについては同じ左の主砲、村上宗隆選手のメジャー移籍が確実視されていることも背景にあるだろう。また、スポーツニッポンは10月22日の配信記事で、ソフトバンクも指名候補リストに残していることを報じた。

 ヤクルトやソフトバンクが実際に指名するか、あるいは他の球団のサプライズ指名があるかなどは、当日までわからない。報道によれば、巨人の水野雄仁編成本部長代理スカウト担当兼スカウト部長は「何とも言えない」と言葉を濁しており、「どの球団も指名を見送るのでは」との憶測も流れている。

 今回のケースは、日本の高校生が米国の大学へ進学したケースという広い視野でみると、佐々木選手の指名結果だけで完結するわけではない。

 今後も、米国の大学へ進学した日本選手が在学中にNPB、MLBの双方から指名を受けられる枠組みは、NPB球団にとっては“もろ刃の剣”ともいえるからだ。

 日本国内の高校生・大学生がプロを目指す場合、プロ志望届を提出することが義務づけられている。高校生が卒業後すぐにプロ入りしない(指名されなかった場合も含む)ときは、国内の大学へ進学するか、社会人へ進むことが一般的だ。

 一方で、メジャー志向が強い高校生にとっては、語学力や日本よりもはるかに高い学費などのハードルがあるとはいえ、米国の大学進学はかなり魅力的な選択肢になるだろう。