日本にも増える「本をテーマにした宿泊施設」

 旅先での入浴も読書をしながらだ。外の空気を感じながら客室露天風呂で本を広げるのが旅先のルーティンで、大浴場には滅多に足を運ばない。

 そんな男性が数年前に出会ったのが、本をテーマにした宿泊施設だ。 海外では米国・ニューヨークやカナダ・トロントなどに展開するライブラリーホテルや、タイ・サムイ島にあるザ・ライブラリーなどが有名で、図書館規模の蔵書を備え、中には作家を招いた読書会など本をテーマにした宿泊体験を提供する施設もある。

米ニューヨークのライブラリーホテル(Jim.henderson - Own work, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

 日本でも近年、こうしたホテルや旅館が増えている。

 2022年に本の街、神保町(東京・千代田区)で開業した“読書するために泊まるホテル”BOOK HOTELは、昨年、京都市に第2弾となるBOOK HOTEL京都九条をオープン。

 今夏には埼玉・所沢市のポップカルチャー発信拠点、ところざわサクラタウンの中に、約5000冊の蔵書と読書スペースを設置したホテル、IN THE LIBRARY hotel and books TOKOROZAWAが誕生している。

 前出の男性は「おかげで旅先に重い本を持っていく必要がなくなった。宿によっては絶版になった昭和の本なども読め、興味の対象が広がっている」と話す。