Zooxの自動運転車(1月7日、ラスベガスのコンシューマー・エレクトロニクス・ショー=CESで、写真:AP/アフロ)
目次

 米アマゾン・ドット・コム傘下の自動運転開発企業、米ズークス(Zoox)が先月10日、米西部ネバダ州ラスベガスで一般向けのロボタクシーサービスを開始した。

 2020年の、アマゾンによるM&A(合併・買収)から5年を経ての市場参入となった。

 ズークスが開発した、ハンドルもペダルもない専用車両が公道を走る初の事例となる(ズークスの発表資料)。

 先行する米グーグル系のウェイモ(Waymo)が築いた市場に対し、異なるアプローチで挑むズークスの動向は、次世代モビリティーの将来を占う上で一つの試金石となりそうだ。

ゼロから設計した専用車両、乗車体験を重視

 ズークスのロボタクシーは、従来の自動車とは大きく異なる構造を持つ。運転席はなく、乗客同士のコミュニケーションを促すため最大4人が向かい合い座る「キャリッジ(馬車)」スタイル室内空間が特徴だ。

 このアプローチは、既存乗用車を改造する競合他社とは異なるもので、ズークスが創業以来掲げてきた方針と一致する。

 ズークス共同創業者でCTO(最高技術責任者)のジェシー・レビンソン氏は、「我々のアイデアは、クルマを自動で運転させることではなく、全く新しい交通手段を創造することだった」と語る。

 車両には、移動時間をより快適にするための工夫がされているという。

 例えば、「方向転換が不要な両方向走行機能はスムーズな乗降と滑らかな走行を可能にし、フロアからルーフまで広がる窓は開放的な眺望をもたらす」と同社は説明する。

 CEO(最高経営責任者)のアイシャ・エバンス氏は「乗客を中心にゼロから作った」と、その独自性を強調する。

 ズークスはまず、ラスベガス大通り(Las Vegas Strip)の主要なホテルやリゾート施設、エンターテインメント施設を結ぶ区間で、無料サービスを開始した。

 アプリで車両を呼び出すと、指定の乗降場所で乗車できる。

 提携施設には専任の「Zooxコンシェルジュ」が常駐し、利用者をサポートするなど、新たな試みも始めた。