9月23日、国連総会で演説するトランプ大統領(写真:AP/アフロ)
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 ニューヨークで国連総会が行われている。各国首脳が演説し、中東やウクライナ戦争、ガザでの戦闘などについて、論戦が交わされている。石破首相は国連の機能不全について明確に指摘したが、9月23日、トランプ大統領は厳しい国連批判を展開した。「アメリカ第一主義」のトランプ政権の下で、これからの国際秩序はどのように変化していくのか?

トランプの国連批判

 トランプの発言は、その場の思いつきであったり、感情的なものであったりと、支離滅裂な部分があり、そのまま鵜呑みにすることはできない。

 国連総会演説では、トランプは、「自分は7つの戦争を終わらせた。ノーベル平和賞に値する」と自画自賛した。そして、「世界の平和構築に、国連が役に立っていない」と批判した。硬直した安全保障理事会や官僚機構を槍玉にあげたが、トランプのアメリカが、国連機関への資金拠出を止めたり、減らしたりしていることも、国連の機能不全の一因であることを忘れているようだ。

 トランプは、地球温暖化対策を講じるパリ協定から脱退したが、気候変動など「世界に仕掛けられた最大の詐欺、国連などの予測は全て間違いだった」と非難した。そして、国連が「アメリカに不法入国する人々を支援している」と批判した。

 気候変動対策に熱心なヨーロッパを批判し、さらに、ヨーロッパの寛容な移民政策について、「不法外国人によって侵略されている」と述べ、「ヨーロッパはエネルギーと移民によって荒廃していく」と警告した。

 さらに、中東情勢をめぐっては、イギリスやフランスがパレスチナを国家として承認したことを、「ハマスへの大きな報酬だ」と批判した。