こういう動画サービスが問題になるのは、死者への冒涜にならないかという問題と、遺族に対する倫理の問題である。

 番組内で、同社の柏口之宏社長は「対話型AIに依存しサービスから離れられない人が出たら、専門家と相談しながら考えたい」といった。

「ニュウジア」のHPには、つぎのようなQ&Aを設定し、丁寧に対応しようする姿勢がうかがえる(ここではQだけをいくつか抜粋)。

「人の悲しみを利用して金儲けをするのではないですか?」
「なぜこのようなサービスを始めたのですか?」
「故人をAIで再現することは、『忘れることができなくなる』という問題を引き起こしませんか」
「忘れることには意味があるのではないでしょうか?」
「AIで再現した故人が現実と区別できなくなるのではないですか?」
「この技術を使うと逆に心の傷が深くなるのではないですか?」

 その後、ニュースを見ていたら、韓国のIT企業が、葬儀での個人再現動画を始めた、というニュースが報じられた。

 参列者に「AI故人」が挨拶をするのだ。このようなサービスは海外で広がりを見せてるという。ただ故人への冒涜ではないか、などの批判もある。

坂本龍馬とおりょうが笑う

 以前からAIやCGに、フェイク動画があるのは知っていた。

 あれは熊本地震のときだったか、深夜人通りの絶えた街中に動物園から脱出した(とされる)ライオンがたたずんでいる写真が投稿された。わたしは騙された(これを投稿した人間は逮捕された)。

 またトランプやプーチンら政治家の、あるいは有名女優たちのディープフェイク動画があるのはよく知られている。

 そんななか、びっくりするような動画に遭遇した。

 高杉晋作や、陸奥宗光や、特攻隊員の写真が、鮮明なカラー写真に変わると、写真の人物たちが、さながらかれらが実在するかのように動くのである。

 最初見たときは驚いた。こんなものがあるのかと。

 かれらが笑いながら、手を振るのだ。

 まさか坂本龍馬とおりょうが笑い、手を振り、手をつないで歩く姿を見ることになろうとは、夢にも思わなかった(【写真映像化】坂本龍馬とおりょう、AIが蘇らせた歴史上の夫婦)。

 音声はない。しかしいかにも本物はこうだったろう、と思わされるほど自然なのだ。