ホワイトハウスのオーバルルームでトランプ大統領と話す韓国の李在明大統領(8月25日、写真:AP/アフロ)

韓国の立場を理路整然と説明

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 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が初訪米し、8月25日にホワイトハウスでドナルド・トランプ米大統領と会談した。

 会談の冒頭はメディアにも公開され、テレビのリアリティ・ショーよろしく、トランプ氏の脈絡のない放談の餌食にされてしまった。

President Trump Participates in a Bilateral Meeting with the President of the Republic of Korea

 最後には記者団との質疑応答の形をとったトランプ氏の観測気球発言(?)に半信半疑の李在明氏は戸惑いすら見せた。

「それでも非公開の首脳会談では話すべきことは話し」(韓国関係筋)、アジアから訪米する首脳が行う主要シンクタンク(今回は米戦略国際問題研究所=CSIS)での講演・質疑応答では、李在明氏に対してもたれている「容共主義かつ民族主義者」といった人物像を払拭すべく、(十分練り上げた)政治姿勢、対中政策を明確にした。

[ENG] Statesmen's Forum: His Excellency Lee Jae Myung, President of the Republic of Korea

Lee_Statesman_Forum.pdf

ただ、ここに集まった知識人は理解しても、果たしてトランプ氏が理解できるかどうか、はなはだ疑問だ。聴衆の中にトランプ氏に助言できる者がいたか、どうか」(出席した上級研究員)

 問題は、メディアのほとんどが冒頭の公開された首脳会談でのやりとりだけで記事を書き、映像を流したことだ。

 そこでのトランプ氏の発言が、米国民向けの思いつきの大風呂敷なのか、あるいは「戦略なき外交戦略」なのか、分からない。

 会話の中で出てきた金正恩・北朝鮮総書記との首脳会談を果たして正式に希望したのか、年内の訪中計画を中国政府にオファーしたのか。

 重要案件や人事を正式の記者会見ではなく、自前のSNS「トゥルース・ソーシャル」で発表、外国首脳との会談に際しては外交儀礼などお構いなしのトランプ流だからだ。

 もっとも、それがトランプ外交の真骨頂なのだ。

(いずれにせよ「百聞は一見にしかず」。読者諸兄姉は添付したホワイトハウス公表の全動画を見ていただけば、米韓首脳会談での両首脳のやりとりがお分かりになるはずだ)