韓国・釜山の展望台「釜山エックス・ザ・スカイ」にある地表から世界で最も高い所にあるスターバックス店(2023年11月10日撮影、写真:Lee Jae Won/アフロ)
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 韓国のカフェで、長時間勉強や仕事のために席を占拠する「カゴン族(カフェ勉強族)」の存在が大きな論争を呼んでいる。

 スターバックスなど大手チェーンから個人経営店舗まで、様々な対応策を講じる中、業界が「共存」と「差別化」を模索する姿が注目されている。

 韓国では、カフェで勉強する「カフェ勉強族」を「カゴン族」と呼んでいる。

「カゴン族(카공족)」とは、韓国語で「カフェで勉強(コンブ)する人々」を指す俗称で、「카페(カフェ)」+「공부(勉強)」+「족(族)」が語源となっている。

 もともとは受験生や就活生が、家では集中できない、図書館は閉館が早い、という理由からカフェで勉強をすることが一般的だったが、近年はリモートワークやフリーランスの増加により「仕事場」化も加速している。

カゴン族の自己中心的行動に批判

 カゴン族の行動は多様だが、1杯のコーヒーで数時間にわたって席を占拠し、電源やWi-Fiを利用し続けるだけでなく、ノートパソコンはもちろん、デスクトップPCやプリンターなどの電子機器までも持ち込む猛者が現れ、一度座った席を開店から閉店まで離れない場合もある。

 勉強仲間を呼び寄せ、追加注文なしでスペースを占領するケースも見受けられる。

 このような現象は、韓国のコーヒー文化の特殊性を色濃く映し出している。これとは別に、おばさんたちが複数人でコーヒーを1杯しか頼まない場合もある。それはまた別の機会に紹介する。

 カゴン族の行動は、一方では「カフェ」を「個人事務所」や「自習室」とみなす文化の象徴でもあるが、他方では「迷惑行為」として否定的に受け止められることも多い。

 なぜなら、長時間席を占拠することによって、他の客が座れる席が減り、コンセントの取り合いによるトラブルが発生しやすくなるからだ。

(韓国リサーチ調査によると、座席利用できなかった経験が47%、個人の持ち物などを置いて席を占有しながら長時間空席しているのを見かけた経験が40%に及ぶ)

 こうしたカゴン族は「電気泥棒」とも呼ばれるほど、店舗の電気代やインターネット利用の負担を指摘する声も少なくない。