
いま韓国は、大統領選挙の真っ最中。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が「戒厳令」という時代に合わない切り札を出したばかりに急遽罷免され、6月3日に大統領選が行われることになった。
大統領選に立候補した各候補たちは韓国中を飛び回り、毎日どこかで遊説をしながら有権者との接点を増やしている。
韓国の大統領選挙では、まず庶民を象徴するとされる市場へ行って遊説するのがこのところお決まりのパターンだった。
庶民に親しまれる大統領というイメージづくりである。これらは、伝統的な選挙運動方法といえる。
だが最近、インスタグラム、ユーチューブ、ティックトックなどで、政治家の言葉が「ミーム(ネットジョーク)」や「ネタ動画」「フェイクニュース」として消費され、若者たちの間で新たな形の政治的関心を呼び起こしている。
そこで候補側もそれはとばかりに、ミームやショート動画などを制作して流布させ、知名度を高め、親近感を植えつけるのに躍起だった。
ところが、今回の大統領選は、この最近のトレンドとは全く異なった現象が起きている。
前回2022年の大統領選では活発だったミームやショート動画などのオンラインコンテンツがほとんど姿を消したのだ。
代わりに街のあちこちに掲げられた従来型の横断幕やスローガンがメッセージ伝達の主要手段として再び脚光を浴びている。
そして、全く新しい動きとして、政治家をモチーフにした仮想通貨、ミームコイン(MEME COIN)が発行され、これも話題になっている。
ミームやショート動画が減った理由としては、戒厳令の影響とネット疲労感が複合的に作用した結果とみられている。
戒厳令直後から尹錫悦大統領が罷免されるまで賛否両側のデモが続き、ネットでの激しい攻防があった。
一般の国民にとって、ネットでの攻防にはさすがに食傷気味で、疲労感でいっぱいというのが本音だろう。
それでも、遊説で語られた候補たちの言葉は、ネットでさらに影響力を増している。
ネットでの攻防には飽き飽きしたものの、やはりネットがなければ始まらないということだろう。
そこで今回は、大統領選で有力候補の李在明(イ・ジェミョン)、金文洙(キム・ムンス)、李俊錫(イ・ジュンソク)の3人の過去の発言からミーム化したコンテンツがあるので、それらを紹介したい。
真面目な政治スローガンなのにユーモラスなコンテンツへと変化させ、笑いながらも記憶に残る「政治のエンタメ化」を体現させてくれる。