ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする地震による津波警報について開かれた気象庁の記者会見=30日午前、気象庁(写真:共同通信社)
7月30日の朝8時25分ごろ、ロシアのカムチャツカ半島付近でマグニチュード(M)8.7の地震が起きた。北海道でも震度2程度が記録されているが、地震による人的な被害や家屋への被害はいまのところ報告されていない。
当初、大きな津波の発生が予想された。実際、千島列島(クリル諸島)のパラムシル島では建物が流されるなどの被害が出ている模様だ。
元航空幕僚長が「気象庁などが少し煽り過ぎなのではないか」
日本の気象庁も、広い範囲に津波警報を発令した。
この地震による、日本国内での津波の被害としては、本稿執筆の7月31日17時時点では、三重県熊野市で車を退避所に移動させようとして女性が道路わきのがけ下に転落して死亡した事故、宮城県でカキ養殖のためのいかだの転覆するなどの被害が報告されてはいる。
ただ、到達した津波は気象庁が予測した高さほどではなく、また津波による直接の人的被害はなかったためか、SNSなどでは「気象庁、大げさすぎ」「煽り過ぎだ」「電車の運行などで国民生活に大きな影響を及ぼした」といったトーンの書き込みが目につく。
「津波警報発令中」を伝える、福島県広野町の国道6号の電光掲示板。「国道6号 通行止め」の文字が見える=30日午前11時4分(写真:共同通信社)
たとえば、元航空幕僚長の田母神俊雄氏は7月31日、Xにこう投稿した。
〈昨日は津波情報に振り回されて一日だった。津波は本当に来たら怖い。しかし津波警報で新幹線や空の便が止まったり多くの人が避難するなど国民生活に大きな影響が出た。これは津波そのものの影響ではなく津波警報の影響なのだ。気象庁などが少し煽り過ぎなのではないかという気がした。国民生活に影響がないのなら煽ってもいいかもしれないが、これほど大きな影響が出ては、煽り過ぎとの批判が出てくるのはやむを得ないと思う〉(*投稿には「津波警報による新幹線のダイヤ乱れはありませんでした」などのコミュニティノートが付いた)
果たして、そうした批判は妥当なのだろうか。そういう書き込みをする人々は、津波の恐ろしさを忘れてしまったのだろうか。