*本文と直接の関係はありません(写真:Mikai/Shutterstock)

腹部に噛まれた痕

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 岩手県北上市和賀町の民家の居間でクマに襲われた高齢女性(81)が死亡していたのが発見された事件は7月4日の早朝のことだった。あれからわずか1週間でクマによる第二の死亡事件が起きてしまった。

 12日午前2時49分ごろ、北海道福島町三岳の住民から「新聞配達員がクマに襲われ、引きずられていった」と110番通報があり、捜索の結果、午前4時41分に草藪の中で男性の遺体が発見された。全身に爪痕、そして腹部を中心に噛まれた痕があったという。男性は毎朝、自転車で新聞配達をしていた。

 現場は福島町役場から北に700メートルほどの市街地で、小学校やグループホームも徒歩圏内にある。山中ではなく住宅街での襲撃という事実が、事態の深刻さを際立たせていると言えるだろう。

男性が倒れていた現場。左奥はグループホーム=7月12日午前、北海道福島町(写真:共同通信社)

 目撃者は「叫び声が聞こえた後、玄関を開けたら、目の前でクマが人に覆いかぶさるようにしていた」と証言している。クマはその後、男性を草むらに引きずり込んだ。警察は、クマの特定と駆除に向けた捜索を続けている。

 また道は、12日から1カ月間にわたり、福島町全域に「ヒグマ警報」を発出した。2022年5月に注意報や警報の制度ができて以来、「警報」の発出は初めてのこと。まさに異常事態と言っていい。