7月8日、和歌山市内で演説する自民党の鶴保庸介参院予算委員長。ここで「運のいいことに」発言が飛び出した(写真:共同通信社)

あまりにも配慮がない言葉選び

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 7月8日夕方、参議院議員選挙で和歌山県選挙区から立候補した二階伸康氏が和歌山市内のホテルで開催した演説会に和歌山選出の自民党・鶴保庸介(つるほ・ようすけ)参議院予算委員長(56)が応援弁士として駆け付けた。

 二階伸康氏は、昨年、政界を引退した二階俊博・元自民党幹事長の三男である。自由党時代の俊博氏の指導の下、1998年の参院選で初当選を果たした鶴保氏は、その後の政界再編でも俊博氏と行動をともにし、俊博氏が自民党に復党するときにも追随。以後、党内では二階グループに所属してきた。

 その俊博氏の三男・伸康氏の参議院選出馬にあたって、鶴保氏は選対副本部長を務めている。ちなみに伸康氏の選対本部長は二階氏の長男・俊樹氏だ。かつて和歌山県御坊市の市長選に立候補するも落選している。

 8日も地元での決起集会ということで、会場を盛り上げようとさぞ張り切っていたのではないだろうか。あるいは地元という気安さもあったのかも知れない。テレビ局のカメラも入り、鶴保氏は次のように演説した。

「また運のいいことに能登で地震があったでしょう?」

 災害を話題にするのに「運のいいことに」という言葉を使ったのはあまりに不適切であった。突然の震災で、自分や家族の人生・生活が一変する苦境や悲しみに突き落とされてしまった人々がその言葉を聞いたらどのような気持ちになるのか想像できないというのは、政治家として致命的である。

 しかもその後、

「能登で地震があった時に、地震の、上の方であったのは、あの、輪島だとか、あの…たま…なんだっけ、上の方ね。能登半島の北の方ね。そういう地域で」

 などと、珠洲市(すずし)を読めずに「たま…なんだっけ」と言ったことなどが大きく報道された。わざわざ能登の震災を話題にしているのに、被災地の地名も頭に入っていないことが露呈したのだ。