衝撃的だった調査の中身

 総務省「令和5年版 情報通信白書」によると、ファクトチェックについて「内容や意味を具体的に知っている」「なんとなく内容や意味を知っている」等を合わせた「認知している」と回答した人の割合は、米国、英国、ドイツ、韓国では概ね7割程度以上の高い水準にある。

 これに対し、日本の認知度は50%に満たない水準であった。

「具体的に知っている」がわずか10.2%、「なんとなく知っている」が18.4%であった。日本のインターネット利用率は決して他国に劣るものではないにもかかわらず、偽情報への対抗策と以前から目されてきたファクトチェックの認知がこれほどまでに低い現実は、全国紙の本格参入が「周回遅れ」であることを物語っている。

総務省『令和5年版 情報通信白書』から引用

 新聞に限らず、日本のマスメディアのファクトチェックへの取り組みが低調であったことも、この認知度の低さの一因である。2023年にNHK放送文化研究所が実施した調査によれば、調査対象となった74のマスメディアのうち、回答があった22社の中で、実際にファクトチェックを実施していると答えたのは、わずか8社にとどまっていた(NHK放送文化研究所「ファクトチェックマスメディアの現状と課題」)。

 このような状況下で、日本の報道を牽引する存在である全国紙がようやく重い腰を上げたことは、一歩前進ではある。