東京都議選の選挙戦最終日、街頭演説で支持を訴える地域政党「再生の道」の石丸伸二代表=2025年6月21日(写真:共同通信社)
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
蒲田駅西口で再び石丸氏の演説を見た
選挙を規制する公職選挙法の2025年改正には、本命ともいえるデジタル分野の改革は含まれず、今後の検討について附則に記されるのみとなった。
◎品位損なう選挙ポスター禁止 改正公職選挙法 参院本会議で成立:NHK
ということは、現状の動画やSNSに関する選挙の規制は2024年時とほぼ変わらないままで、今後もそれらの試行錯誤と選挙や政治活動での利用は進むと考えられる。
オンラインにおける情報流通やその広がりについては関心が向くようになってきたが、「地上戦」とあわせた検討はそれほどなされていないままである。平たくいえば、オンラインでの盛り上がりと街頭の盛り上がりとの関連性、政党支持態度の変容や投票傾向といえばなおさらで、実態ははっきりしない。
2025年6月の東京都議会議員選挙で、元安芸高田市長の石丸伸二氏を代表とする「再生の道」は、42人という多くの候補者を擁立しながら議席を獲得することはできなかった。
筆者は、先の都知事選を含めた石丸氏や再生の道が歩んだ道のりは、こうしたSNSや動画と選挙、政治の問題、そして規制のあり方を考えるうえでの重要な道しるべの一つになると考えている(もちろん兵庫県知事選挙や2010年代からの知見の振り返りも重要であろう)。
本稿は都議選投開票日前日の再生の道、石丸伸二氏の街頭演説の描写である。告示直前の6月7日(土)に本格的に動き出した石丸氏の演説の様子も以下の記事にまとめたが、ぜひ、投開票直前と少し前の演説とを比較しながら、それらのあり方に想像力を向けてみてほしい。
◎石丸伸二氏「再生の道」は賞味期限切れか?有力政治家の演説定番スポット・蒲田駅西口の街頭演説を見て気づいたこと 【西田亮介の週刊時評】JBpress
なお既に過去の原稿でも記したように、筆者と石丸氏は共著『日本再生の道』(幻冬舎)を記し、一緒にロケに出るような関係にある。都議選直後にもインターネット番組「ReHacQ」で同席して意見を交わしている。