それぞれの街頭活動の特徴から見えるもの

 蒲田駅西口における三つの演説会でわかったことを解釈するのは実は難しい。

 簡単にまとめておくと、石丸氏の演説会においては、蒲田駅前に物理的に集まった150人の聴衆のほかに、メインのオーディエンスはスマホとネットの先にもいたのかもしれない。

 公明党が見せたのは、強固な支持母体に支えられた、規律正しく熱量ある組織の力だ。

 自民党の静かな集会は、国政レベルで取り沙汰される「政治とカネ」の問題などが影響し、支持層の間に広がる一種の疲弊や無力感を反映しているようにも見えた。同じ「既成政党」という枠組みの中にありながら、その組織の動員と組織化の方法、支持層、熱量などには大きな違いが存在することを浮き彫りにした。

 より深く、ネットや動画と選挙運動の結びつきを理解するためには、やはりより多くの事例の蓄積と丹念な観察の積み上げが必要というほかない。

 冒頭にも述べたように、公選法におけるネット関連の規制は事実上そのままのため、今後も政治家や政党による試行錯誤は続くものと思われる。早くも動画の活用やネットと選挙の関わりの功罪を議論する向きもあるが、まずはネットと現地それぞれで生じていることを丹念に理解する作業が必要なのではないか。

 再生の道も議席獲得には至らなかったが、参議院選にも挑戦するという。またそこで起きることに筆者なりの方法で目を向けてみたい。