公明演説が始まると一変

 規制エリア内に入る支持者は手荷物検査を受け、そのほとんどが高齢者で固められている。聴衆は数十〜100人未満程度だろうか。

 司会者、ウグイス嬢、候補者本人、そして応援に駆けつけた公明党代表と、演説は一瞬の途切れもなく、予定された時間内を完璧な流れで満たしていく。

 これは長年にわたり培われてきた組織選挙の真骨頂であり、一分の隙もない「プロの仕事」だった。

 特に印象的だったのは、候補者が「現状、圏外」と繰り返し、支持者の危機感を煽る戦術だ。

 演説の最後には絶叫に近い訴えとなり、聴衆の結束を極限まで高めようとする。これは、聴衆を盛り上げるための古典的な手法の代表例である。
 
 さらに同日の夕方、同じ場所で行われた自民党の演説は、また異なる様相を呈していた。現職の国会議員が応援に駆けつけたにもかかわらず、聴衆は50人にも満たず、公明党のときのような熱気や厳重な警備も見られなかったのである。