メディアは報道を自制、政府もだんまり、そして広がる国民の不安

 一方、NKデイリーの報道内容について、裏付ける情報がないとし、慎重論を提起する声もある。

 米国の北朝鮮ニュース専門メディアである『NKニュース』は、最新の46枚の衛星写真を分析した結果、「(ウラン工場の廃水を放流するために排水路を建設したのではなく)むしろ以前に漏出が発生した廃水管を修理した」「北朝鮮が平山工場から毒性スラッジを排出しているという主張を裏付けるような目につく証拠はない」と報道し、「たとえ廃水が放流されていても放射能より重金属汚染の危険度のほうが大きい」とも話した。

 その一方で、「北朝鮮がウラン工場施設の補修に乗り出したのは核物質生産をさらに増やすための措置とも解釈される」とし、「平山工場中心部にあった8つの試料タンクが10個に増えた。試料タンクにはウラン鉱石からウランを精製・抽出する際に使われる酸とアルカリ溶液が含まれていると推定される」と警告している。

 専門家たちの意見が分かれる中で、主流メディアは大々的な報道を自制、韓国の李在明政権も問題を大事にしないよう腐心しているようだ。問題が言及されればされるほど、国民の不安が高まるだけで十分な対策がないためだ。

 ただし、韓国の安保と国民の健康問題に絶対的な害悪を及ぼす恐れがある北朝鮮核問題に対して、韓国政府が言及を自制する姿は、過去の日本福島原発の処理水放流当時と比べてあまりにもダブル・スタンダードが過ぎる、という非難が出ている。