
就任からわずか14日後にG7首脳会議にオブザーバーとして参加し、日本をはじめとする加盟国およびオブザーバー諸国との間で首脳会談を複数実現させたことで、韓国内で評価を高めた韓国の李在明(イ・ジェミョン)新大統領の「実用外交」だったが、早くも躓きの兆しを見せ始めている。
韓国大統領府が24日からオランダ・ハーグで開かれるNATO首脳会議に出席しないことを公式発表したことで、韓国の保守政界を中心に「中朝露の顔色をうかがっているのか」との批判の声があがっているのだ。李在明政権の外交安保政策が、結局は「自主派」の影響力に左右されているという不安な分析も出はじめた。
G7カナナスキス・サミットへの参加見送り論もあった
韓国は、李在明政権誕生のかなり前から、今年のG7首脳会議とNATO首脳会議へ招待されていた。特にロシア・ウクライナ戦争勃発後、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は欧州諸国の安保連合体であるNATO首脳会議に3年連続で参加し、自由主義・民主主義陣営の一員であることを明確にしてきた。

しかし、進歩政権の李在明政権は、中国やロシアと対立するG7首脳会議とNATO首脳会議などの自由主義陣営の国際連合体への出席を渋っていた。
G7への参加に関しても、李在明政権の外交ラインでは「政権発足直後なので準備時間が足りない」などの理由で見送ろうとする声もあった。ただ、韓国の歴代政権は、G7へのオブザーバー出席を「外交功績」としてアピールしてきた。たとえば、2021年に英国で開かれたG7会議に文在寅(ムン・ジェイン)元大統領がオブザーバーの資格で出席すると、韓国の大統領室はG7首脳が集まって撮影した記念写真を切り抜き、文在寅大統領を真ん中に配した上、「これこそが大韓民国の地位!」と広報したこともある。

それほどG7へ出席することには政権と大統領自身をアピールする効果がある。そのため、一部で上がっていた反対意見をはねのけ、李大統領は出席を決めたのだ。