世界販売台数はトヨタの8分の1
マツダは22年から30年までの9年間を3年刻みで3つのフェーズに分けてEVシフトに対応する戦略もすでに発表している。将来動向が読みづらい中、3年単位で区切ることで、徐々に対応していく。
すでに終わった第1フェーズ(22~24年)では、まず電動化に向けた開発体制を強化し、北米市場で稼ぎ、同時にコスト低減推進とサプライチェーンの強靭化を進める時期と位置付けていた。続く第2フェーズ(25~27年)では、電動化への移行期として、電池の調達を強化すると同時にEVを試験的に導入する計画だ。
そして最後の第3フェーズ(28~30年)では、EVを本格導入し、自前での電池生産にも踏み切る時期と位置付けた。
マツダは自らを「スモールプレーヤー」と呼ぶ。世界販売はトヨタの8分の1程度の130万台しかない。このため、過剰な設備投資をすれば、投資が回収できなくなるリスクを常に抱えている。EVシフトの時代にも、いかに知恵を使って投資を抑えていくかがカギとなる。
マツダは6月4日、主力生産工場の防府工場(山口県防府市)で27年から販売する自社開発のEV(電気自動車)を生産する方針を明らかにした。
防府工場では現在、2本の車両組み立てラインで計7車種を生産。第一ラインではマツダ2やCX-30など、第二ラインでは「ラージ商品群」と呼ばれるCX-60やCX-70などを製造している。動力源もガソリン・ディーゼルエンジン、プラグインハイブリッド(PHV)など多岐にわたっているが、新型EVもこうした車種と混流で生産する計画。既存の生産基盤を最大限活用しながら電動化という市場の変動に対応していく考えだ。
そのキーワードの一つが「根の生えない設備」。工場の床に埋め込み式で備え付けられたベルトコンベヤーがないという意味だ。たとえば、「トラバーサ」と呼ばれる台車に車体を載せて部品の組み付けを行っている。左右2本のトラバーサのうち1本が奥に動き、1本が手前に動き、横移動する。
こうしたライン構成にすることで、短期間、低コストで生産ラインの長さを変えることができ、需要変動に対応しやすくなる。