米重 高いんです。2割近いんですよ。ちなみに教育・子育ては11.7%だったんです。つまり「教育・子育てよりも外国人をなんとかせい」という世論があるということをわれわれはまず認識しないといけない。そこで外国人・インバウンド対応が重要だという人の支持層を見ると、参政党に投票するという人が2割近くに上っている。やはり参政党の「日本人ファースト」という、外国人に対して厳しい対応を取るべしというスタンス・政策が支持されたと考えるべきで、それは参院選にも影響するだろうというのが、私の今の認識です。
自民党支持層から抜け出した人たちによって、そういう世論ができて、育っていることは参院選における自民党の選挙情勢にも大きく影響しかねません。全国の45ある参院選の選挙区のうち、1人区は32ありますが、その1人区にもずらっと参政党の候補が擁立されています。その人たちが伸びれば伸びるほど、自民党は打撃を受けるでしょう。都議選における参政党の躍進は、いろんな意味で影響が大きいと思います。
山本 参政党は自民党の支持層の票を削っていますよね。そして現場的に言うと、参政党さんは政党としてポスターを結構貼るんです。政党として動いているんですよ。あのオレンジのカラーで。

米重 本当に見かけますよね。
山本 ポスターをすごく貼るんですよ。地道な活動もちゃんとしているわけですよね。動いてるんですよ。
――組織がしっかりしている?
山本 従来はそうじゃなかったのかも知れないけど、それこそ自民党的な動きを知ってる人なんかがちょっと応援したりしたのか。ポスターの貼り方で分かるんです。北区には参政党の候補者がいませんでしたが、他を見ているとすごいと思いますよ。
米重 SNS選挙と言われるだけあって、ユーチューブやXの利用者層の参政党に対する支持が強いのは事実なんですが、一方でそれだけじゃないなと思うんです。山本さんがおっしゃるように、地べたを這うような活動を明らかに参政党とは組織的に実現できている。そこは1つのポイントじゃないかなと。
山本 普段から地道にポスター貼るとか選挙区を回るといった政治活動をしてるんですよ、彼らは。それで「ああ、参政党か、オレンジ色でやってるよね」っていう認識がたぶん徐々に有権者に来ているんですよ。「新規の、いきなり突然出てきた政党」という感じではなくなってる。
自民党、事前調査での好感触で緩みが出たか
――それに対して自民党です。33議席(告示前は30議席)から21議席ということですけども。
山本 事前の世論調査でちょっと自民党に数字が出すぎた気がしますが、どうですか。
米重 おっしゃるとおりですね。先ほど申し上げた、東京で電話調査が全然ダメになっているということによって、ある意味、弛緩してしまったのかなという気もします。
山本 緩んだ感じはありましたね。
米重 普通に考えて、というか私がその調査ばっかり見ているからかもしれないんですけれど、態度未定者が50%もいるような状態の調査で、「一番」と出たって全く何の安心材料にもならないんです。私だったら怖くて夜も眠れない。
山本 確かにどこかのマスコミは確か「第一党」って……。
米重 「第一党をうかがう」などと言い切っていましたね。実は4年前にも同じ失敗をしている。まったく同じような形で「自民党が第一党」と言っていて、結局は都民ファーストに肉薄された状態になっていた。ラーニングできていないんですよね。
しかもその4年前と比べて今は、特殊詐欺に対する警戒とか防犯対策ということで固定電話に自動で切断されるような装置を入れる家庭も増えている中で、あいかわらず電話調査して、それでなにか分かったような気になるのはすごく危ないっていうことが、今回よく分かったんじゃないですかね。
物価高、高失業率というのはグローバルで見て政権与党に対してものすごく逆風になるテーマなんです。その状態では選挙が戦えるわけがないというぐらい非常に重要なイシューです。そして、今の日本で物価高に直面する世論は自民党を評価していません。
物価高対策の前に「減税」か「給付」かというテーマもありますが、実は給付は評判が悪いんです。バラマキ的なカラーが出ますので。案の定、石破首相が都議選初日に表明した給付金については、世論調査で否定的な反応が多数だった。