AI需要で加速するトランプ流「電力革命」
現在、米国は電力需要の爆発的な拡大に直面していると伝えられています。米エネルギー情報局(EIA)の長期予測では、米国にある発電所の発電容量は、2022年時点の約1132.7GW(ギガワット)から2050年には約2199.3GWへと倍増するものと予測されています(図表3)。
【図表3:米国の発電容量の予想】

(出所)EIAのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
こうした電力需要急増の背景には、AIモデルの開発や運用のために急増する、大規模データセンター向け電力需要の拡大があるとされています。また、製造業の国内回帰による生産活動の活発化や、自動車やビルの電動化なども、そうした電力需要の拡大に拍車をかけているようです。
ちなみに、DOEが所管する研究所の報告では、米国のデータセンター向け電力需要は2023年の約176TWh(テラワット毎時、電力総需要の約4.4%)から、2028年には最大で約580TWh(同12.0%)にまで急増することが予想されています。
トランプ大統領はエネルギー緊急事態を宣言して、前民主党政権による再生可能エネルギー重視の政策を180度転換するとともに、化石燃料や原子力発電による電力供給の大幅拡充を行うことで爆発的に増加する国内の電力需要に対応しようとしているようです。
そして、融資目的を転換させたグリーン・バンクの約4000億ドルの巨額資金がこうしたトランプ流の「電力革命」を金融面から強力に推進することで、関連する業界や企業に大きな恩恵をもたらすことが期待できそうです。