「小泉劇場」のおかげで最悪期を脱した自民党
国民民主の勢いにブレーキがかかったことで、相対的に浮上しているのは自民と都ファだ。自民はちょっと前まで「1ケタ台の惨敗もある」(自民党都連関係者)と頭を抱えていた。
派閥パーティーをめぐる裏金問題は、国政だけでなく都政でも事件化した。都議会自民党の26人がパーティー券収入を「中抜き」して政治資金収支報告書に記載せず、うち17人が今回の都議選に出馬し、幹事長経験者6人は公認されず無所属で戦っている。
もっとも、告示日に井上信治都連会長や都連幹部がこれら無所属出馬候補の応援に入り、処分は有名無実化。自民党内が裏金事件を「すでに終わったこと」としているからではないか。
理由は「小泉劇場」だ。実はこれも都議選の「景色が大きく変わった」要因のひとつ。令和のコメ騒動は、小泉進次郎農林水産大臣への交代で随意契約の安い備蓄米が店頭に並び、石破茂内閣の支持率が持ち直した。これが「最悪期は脱した」(自民党都連関係者)との期待につながっている。
「なんやかんや言って、自民党候補はそれぞれ自前の後援会を持っていて、それなりの票は出せる。現状ではひとり勝ちする政党がなく、多党化しているので票が分散し、自民が漁夫の利を得やすい。現有から議席を減らすとしても大敗はなくなったのではないか」(選挙関係者)
という見通しも出てきた。有権者が都議選で「政治とカネ」に対してどのような態度を示すのかは、参院選にも影響するだろう。
