李在明大統領の就任を祝うサムスンの新聞広告(筆者撮影、以下同じ)
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 韓国大統領選挙に異変はなかった。完勝して就任した李在明(イ・ジェミョン=1964年生)大統領を、待っていたのは予想外ともいえる株価の連騰だった。

 経済重視を掲げる新政権には思いもよらなかった好スタートだが、経済状況は深刻だ。

「第21代李在明大統領の就任をお祝いします」

 大統領の就任を伝えた2025年6月5日の韓国の主要紙すべてに、サムスン、SK、現代自動車、LG、ロッテ、ポスコといった大企業グループや大手金融グループは、新聞広告を掲載した。

 サムスンは1面の下に掲出。1ページ全部を使った「全面広告」を掲載したグループも多かった。

 サムスンの広告は李在明氏がスマホで様々な人たちと写真を撮る絵とともに、「子供の夢も、青年の機会も、私たちの未来も みんな大きくなる国 新しい大韓民国にサムスンも力になります ともに新しい未来を!」と書いてある。

 全面広告だったSKは李在明大統領がシリコンウエハーを掲げている写真を使った。

ポスコの全面広告
SKの全面広告

 韓国紙のベテラン経済記者はこう話す。

「かつて激しい財閥批判をしたこともあり、大企業にとっては期待よりも不安がより大きい政権交代だった」

「まずは経済重視の姿勢を打ち出したことで、ほっとした雰囲気だ。内外の投資家もそうだったようで、株価連騰で新政権がスタートした」