韓国への関税率を示した大統領の書簡を公表するキャロライン・レビット大統領報道官(7月7日、写真:AP/アフロ)
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 まずは無難なスタートを切った韓国の李在明(イ・ジェミョン=1964年生)新政権だが、就任2か月を前に最初の大きな難関を迎えている。

 対米関税交渉だ。

 日本に次いでEU(欧州連合)も米国と合意したことで、短期間で是が非でも「日欧並み」を目指すことになった。

 8月1日までの合意に向けて閣僚総動員でぎりぎりの交渉が続いている。

「何とか交渉をまとめたい」

閣僚は続々ワシントンに

 2025年7月29日午前、仁川国際空港で、具潤哲(ク・ユンチョル=1965年生)経済副首相兼企画財政相はたくさんのテレビカメラを前に硬い表情でこう話した。

 スコット・ベッセント米財務長官との7月31日(現地時間)の米韓関税交渉のためにワシントンに出発したのだ。

 ここ数日、韓国の経済、通商、外交関係閣僚はあわただしく動いている。

 金正官(キム・ジョンギャン=1968年生)産業通商資源相と通商交渉本部長は、7月24日、25日にワシントンでハワード・ラトニック米商務長官と交渉した。

 ラトニック長官が、ドナルド・トランプ米大統領に随行してスコットランドに行くと、韓国側の2人も急遽スコットランドに飛んで追加交渉をして、すぐにまたワシントンに戻った。

 29日にもワシントンで追加交渉の予定だ。

 趙顕(チョ・ヒョン=1957年生)外相も7月29日に東京を訪問した後、ワシントンに向かう。マルコ・ルビオ米国務長官との会談のためだ。

 3人の長官、さらに通商交渉本部長が同じ時期にワシントンに揃うのは、米トランプ政権が8月1日に韓国からの輸入品に対して25%の相互関税を課すと発表しているためだ。

 これを回避するための交渉期限が週内に迫っているのだ。

「目下の最大の経営上の関心事は米韓関税交渉の行方だ。何とかして今週中に交渉がまとまるとよいのだが・・・」

 ある大企業の役員はこう言い切る。

 韓国の大企業の多くは米国での事業の比重が高い。25%もの相互関税は事業に大打撃になる。