今回の驚きポイント

 今回の発表の驚きポイントのまとめです。

・アズキという日本のソウルフードが、縄文人が開発した栽培作物だった。

・縄文時代中期〜後期の作物栽培が確定! 縄文人はアズキ(やクリ)を育てていた。昔習った教科書は塗り替え必至。

・古代中国のアズキは日本の栽培アズキが渡ったものかも?! だとしたら、いったいいつ、どんな交流によって?!

 それにしても、栽培アズキは中国原産という「常識的」な説が、くつがえる経緯は大変興味深いです。DNA読み取りという手法は万能ではなく、これまでの考古学などへの応用では、かえって研究を混乱させることがありました。やはりDNAの持つ膨大な情報は、DNAと考古学の両方に知識を持つ人が上手に選択することによって、真のパワーが発揮されるのでしょう。

 次はどのような栽培植物や家畜の意外な出自が明らかになるのでしょうか。刮目して待ちましょう。

 なお、この記事は人間が呻吟しつつ書いております。

※1:農研機構「アズキの栽培化が日本で始まったことをゲノム解析で明らかに」(2025/05/30)
※2:Chih-Cheng Chien et al., A single domestication origin of adzuki bean in Japan and the evolution of domestication genes. Science 388, eads2871 (2025) .

※2025/06/09追記:中国大陸の栽培アズキについての記述を修正しました。内藤健氏にお礼申し上げます。