マンション価格の高騰でペアローンを組む若いカップルが増えている(写真:metamorworks/Shutterstock.com)

人生100年時代に直面する様々なライフイベントを乗り越えていくために必要なのが「お金」。ただ、いざという時のための「マネープラン」を考えていないケースがほとんどでは。Money&You取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵氏のもとに寄せられた相談事例を通じてマネープランを考えていく連載「人生100年のマネー相談」。今回は、結婚を機に住宅を購入したものの、離婚することになってしまった30代ご夫婦の「ペアローン」問題の相談事例です。

(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)

(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)

 今回、ご相談にやってきた30代の会社員A男さんは、会社員の妻B子さんと数年前に結婚。すぐにでも子どもを授かりたいと思っていたので、結婚後すぐに子どもを伸び伸び育てられる環境が整っている郊外の新築マンションを購入することにしました。

 夫婦共に会社員で収入が安定していたこともあり、夫婦間の住宅ローンを「平等」にするためにペアローンを選択。順風満帆かと思いきや、現在、2人の仲は冷え込み離婚を真剣に考えているとのこと。

 ところが「ペアーローン」を選択したことが簡単に離婚できない問題として重くのしかかっていました。A男さんは、その問題を解決するためのアドバイスをもらうべく、私のところにご相談にいらっしゃいました。

ペアローンの利用率が高いパワーカップル

 住宅ローンの利用形態でここ数年、若い世帯の方々を中心に利用が増えてきているのが「ペアローン」です。三井住友信託銀行の調べによると、20代、30代ではペアローン利用率が約2割を占め、全年代の2倍になっています。

 その背景には、近年の住宅価格の上昇に加えて、共働き世帯の増加や住宅取得費用を夫婦で応分に分担しようという意識、負担できる環境が進んできたことなどが挙げられます。

 ペアローンは、夫婦2人分の収入で家を購入し、夫婦それぞれが同じ金融機関で1本ずつ2本のローンを契約します。

 2人がそれぞれローンの債務者となり返済し、お互いが相手の連帯保証人になります。ペアローンは別々の契約なので、借入額や金利のタイプ、期間などの契約条件を個別に設定することができます。

 所有権は共有名義になり、持分は資金の負担の割合と同じにするのが基本です。

 ペアローンのメリットの1つは、単独ローンにくらべると借入額を増やせることです。2人の収入全額を合算できるため、より多く借りることができます。また、2本のローン契約であるため、夫婦2人とも住宅ローン控除の対象になります。

 デメリットは、事務手数料が2人分必要となり費用がかさむことです。