コツコツ貯めていたお金では足りない(写真:Stokkete/Shutterstock.com)

連載「人生100年のマネー相談」。今回は息子さんが私立大学に合格し、地方から東京に上京して一人暮らしをスタートしたものの、当初の予定以上に仕送り額が増え、家計を圧迫。貯蓄が全くできなくなってしまった40代会社員Eさんご夫婦の相談事例です。

(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)

(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)

 今回、ご相談にやってきた40代の会社員E男さんは専業主婦の奥様と大学に通う息子さんの3人家族。息子さんは昨年、晴れて憧れの私立大学に入学しました。

 息子さんの大学の学費は、毎月コツコツと準備していましたが、誤算だったのは、息子さんが地元の大学に進学せず、東京の大学に進学したことです。東京で一人暮らしをすることになった息子さんへの仕送りが家計を圧迫。その結果、老後のための貯蓄が全くできなくなってしまい、相談にいらっしゃいました。

仕送り代が家計を圧迫

 E男さんは、地方の中小企業に勤務する会社員。決して高年収ではありませんが、奥様が堅実に家計をやりくりし、息子さんの教育資金もコツコツ貯めていました。

 息子さんは当初、地元の大学への進学を希望していたため、大学でかかる費用はこれまでコツコツ貯めてきたお金で間に合うはずでした。

 ところが記念受験と思って受けた東京の私立大学に見事合格! 息子さんの強い希望もあり、東京の私立大学に進学することになりました。

 家計を見直した結果、なんとか毎月仕送り代として7万円を捻出。息子さんには、入学後にアルバイトをしてもらい、仕送りとアルバイト代を合わせて生活をしてもらうことでやっていけるはずでした。

 ところが、息子さんは、大学に通い始めると、思いのほか学業で忙しく、アルバイトをする時間も限られてしまい、仕送りだけが頼りの状態に。

 E男さんも奥様もせっかく憧れの大学に入学できたのだから勉強に集中するのが一番良いだろうと、当初の仕送りの金額を7万円から10万円にアップすることにしました。

 この毎月の10万円の仕送りが、E男さんご夫婦の家計を圧迫し、貯蓄が全くできないどころか貯蓄を取り崩すことになってしまったのです。