現役世代にとって無視できない「がん保険」
こうして今年3月14日までの1年間に8回の入院と39回の通院を重ねた。その診療費総額は入院が約519万円、通院が344万円で合計900万円近くになった。
とはいえ、高額療養費制度の適用で、実際の負担額は100万円にも満たなかったのが実情だ。さらに言えば、筆者は50代後半からある共済に加入していた。総合保障2口と医療特約で毎月5000円を支払ってきた。
この共済に加入していたおかげで、入院時には1日あたり1万円、手術にあたっても診療点数に応じて手術共済金が支払われた。
例えば3月の入院時(7日間)には総額20万3000円が支払われた。実際の負担額は数万円だったから、これは助かった。1年間トータルでみると入院共済金だけで65万円、手術共済金が24万円、合計で89万円が支払われ、これだけで実際の負担額をカバーできていた。がん保険に加入していなくてもなんとかやりくりできたのである。
結果的には高額療養費制度の適用と共済の支払いで、がん治療の負担額を賄えたのが実態だが、年間の収支でいうとこれだけでは話は収まらない。何回もの入院や通院、そして自宅療養で日常の仕事への影響が出るからだ。
幸い筆者は自由業で、材料、取材資料さえそろっていれば自宅はもちろんのこと病院のベッドでも原稿を書くことができたから、影響は最小限にとどまった。とはいえ、月に数万円レベルの減収は免れなかった。
会社員の場合、傷病手当金として標準報酬額の3分の2が1年6カ月支給される。それでも3分の1の減収である。国民保険加入の現役の方には傷病手当金はないので、こちらは無補償。それ以前の収入がそっくり減収となってしまう。
そこで現役世代にとっては、医療保障が手厚い生命保険に加入している方以外、やはり「がん保険」の存在が無視できない。