「手術」「抗がん剤投与」の入院でかかった診療費総額
「厳しい言い方になりますが、抗がん剤治療でよほど効果が表れない限り1年ぐらいだと思います。早く受診してもらってよかった。放置していたら膀胱より先に腎臓がやられて数週間しかもたなかったかもしれませんよ」
医師の衝撃的な言葉が続いた。しかし、今日から入院は困る。明日、どうしてもやらなければならない仕事がある。医師に頼み込んで入院は翌々日からということにしてもらい、この日は輸血だけをしていくことになった。
膀胱がん認定当日の慌ただしい様子をダイジェストにまとめてみた。こうしてがんとの共存生活、闘病生活が始まったわけだが、入院は小学生の時以来だから、半世紀以上ぶりのことだった。
4人部屋になったのだが、意外と広いこと、周りの患者がすべて70代以降の老人であることに驚いた。この最初の入院は腎臓機能の回復を目的としたもので、入院初日直後に右前胸部に抗がん剤投与用のCVポート(医療用カテーテル)を埋め込む手術を行い、夕方からは背中から腎臓に穴をあけてチューブ(カテーテル)を留置する腎瘻(じんろう)の手術を左右同時に行った。尿を腎臓からカテーテルを経由して集尿袋へ排出することになったのだ。
手術後はベッドで安静。抗生剤と輸血で腎臓の回復を待つ。この入院生活は3月15日~21日まで1週間、入院診療費総額は81万6980円だった。もっとも高額療養費制度が適用され、実際の負担額は数万円で済み、入院前に預けていた10万円からお釣りが出たほどだった。
4月に入ると今度は初めての抗がん剤投与のための入院が待っていた。4月3日~14日までの12日間で、入院診療費総額は58万4970円。この入院時も高額療養費制度の適用で、支払いは10万円未満で収まった。