レオ14世のロシア・ウクライナ戦争へのスタンスは

 プーチン氏との電話会談の当日、トランプ氏はSNSで「教皇を代表とするバチカンは、交渉の開催に非常に関心があると述べている。今こそ交渉を始めるのだ!」と突然教皇を指名した*1

*1在ロシア米国大使館、トランプ声明リンク

 4月には、同月死去したフランシスコ前教皇の葬儀で、また5月18日にはレオ14世の就任式で、バチカンはウクライナ紛争に関わる指導者らの即席外交の場と化した。フランシスコ教皇の葬儀の際には、ホワイトハウスでトランプ氏がバンス副大統領と共に「米国にもっと感謝しろ」などとゼレンスキー氏を罵倒した2月下旬の「乱闘」騒動後初めて、米ウ両国首脳が膝を突き合わせて親密に語り合う場が用意された。

フランシスコ教皇の葬儀の際にバチカンで協議するトランプ大統領とゼレンスキー大統領(提供:Ukrainian Presidential Press Office/AP/アフロ)

 18日の新教皇就任式の折にも、ゼレンスキー氏はバンス副大統領やルビオ米国務長官とローマで会見している。

 5月8日に選出されて以来、レオ教皇は度々ウクライナやパレスチナ自治区・ガザ地区での紛争に言及している。11日にはウクライナにおける「真の、公正で永続的な平和」を求め、国名こそ出さなかったものの、ロシアにより連れ去られたウクライナの子供たちを家族のもとへ戻すべきだと訴えた。

 ロシアのウクライナ侵攻に対するレオ教皇の立場は明確だ。故フランシスコ教皇は、2022年に紛争が始まって以来しばしば中立的な立場を取ったと指摘されてきた。半面、レオ教皇は22年の当初からロシアによる侵攻が「帝国主義的」であるとし、ロシアに対して明確に批判的な姿勢を隠さなかった。レオ教皇が選出後、初めて電話会談の相手に選んだ首脳もゼレンスキー大統領だった。

 就任後の14日、教皇はXで和平について連投している。この中に「敵対する者同士が互いに目を合わせ、人々が本来持つべき尊厳、すなわち平和の尊厳を取り戻せるよう、喜んで協力する」と書いたものがある。これに続けて、各国の指導者らに対話と交渉を呼びかけている。

 イタリアのメローニ首相は20日、SNS上で、教皇と電話会談し、バチカンが紛争当事者間の協議の場となる用意があることを表明したと明らかにした。これを確認したのは、トランプ氏や他の欧州各国首脳との協議後のことだとも記した。

 就任まもない教皇がこの和平交渉に関わることについて、教皇の出身国である米国のメディア反応は様々だ。