日本含む31カ国「原子力3倍化宣言」署名

 原発回帰は、日本だけの動きではありません。

 バイオマス発電や水素発電といった再生可能エネルギーの「大国」として知られるスウェーデンでは今月、原発の新設資金を政府が支援する法案が国会で可決されました。スウェーデンは、欧州ではいち早く、1980年に国民投票で段階的な原発廃止を決めた国です。しかし、ウクライナ戦争で状況は一変。エネルギーの安定供給への不安が高まり、2023年には政府が原発回帰へと方針を転換させていました。

 2003年に「脱原発」を宣言していたベルギーでもこの5月、原発新設を可能にする新たな法律が制定されました。英国では2024年1月、温暖化防止のため原子力の発電規模を2400万kWにまで拡大するための政策を公表。フランスでも昨年9月に新たな原発が稼働を始めたほか、2050年までに合計14基の新しい原発計画に着手することにしています。米国も総計で2億kWに及ぶ原発の新規導入計画を発表し、実現へ向けて動き始めました。

 日本原子力産業協会の資料によると、この間の動きで目立ったのは、2024年3月にベルギーで開かれた初の「原子力エネルギー・サミット」です。サミットは国際原子力機関(IAEA)などが主催し、30カ国以上が参加。温暖化防止のため、原発の活用を図ることで一致しました。

 また、2023年11月にドバイで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、4億kWの原子力発電設備容量を2050年には約12億kWに拡大する「原子力3倍化宣言」が出されました。これには、日本や米国をはじめ、フランス、英国、カナダ、韓国など25カ国が署名。その後、カザフスタンやケニア、ナイジェリアなどが加わり、署名国は31カ国になっています。