京浜東北線化する上野東京ラインのデメリット

 川口市とJR東日本が締結した基本協定を見ると、上野東京ラインの停車に伴ってホームを新設する。加えて、新しい自由通路と改札口も整備される予定だ。これにより、川口駅の動線は分散されるので、混雑対策も前進する。

川口駅東口は大型商業施設が並び、ペデストリアンデッキが整備された。そのため、町工場の面影はない(筆者撮影)

 今のところ上野東京ラインの川口駅停車は2037年度をメドとしているようだが、詳細は発表されていない。2040年度あたりまでズレ込む可能性も否定できない。

 川口駅を利用する人にとっては朗報といえるが、東北本線・高崎線全体の利用者から見るとデメリットが大きい。なぜなら上野東京ラインの停車駅が増えることによって所要時間が増えてしまうからだ。

 京浜東北線の運行が開始された当初、東北本線・高崎線は汽車による運行で主に長距離用、京浜東北線は電車による運行で近距離用という役割分担になっていたが、その後、東北本線・高崎線は全線が電化しているため、すでに役割分担は曖昧になりつつある。

 東北本線・高崎線の停車駅が増えると、この役割分担はさらに曖昧になる。それは言ってみれば「上野東京ラインの京浜東北線化」につながってしまう。

 また、上野東京ラインが停車することで京浜東北線の混雑が緩和する可能性はあるものの、それ以上に川口駅の利便性が高まり、それが周辺開発に弾みをつけて、さらなる人口増が起きる可能性もある。そうなると、混雑緩和・分散効果は薄れてしまうだろう。