オレ、実は障害者なんですよ
蒲田の社会福祉協議会へ向かう道すがら、Aさんが突然告白してきた。
「あのさあ、関係あるかわからないんですが、オレ、実は障害者なんですよ」
これまでAさんと話をしてきて、そんな風に感じなかったので驚いた。
何でもAさんは就学前に精神障害者保健福祉手帳(※)をもらい、小学校と中学校は特別支援学級で学んできたという。ただ、働き始めてからは障害者ということはほとんど表に出さず、何かしらの支援も全く受けたことがないというのだ。
※編集部注:Aさんが子どものときは「療養手帳」。
なんだかややこしいことになってきたぞと思いつつ、蒲田駅から徒歩10分ほどのところにある社会福祉協議会が入居しているビルに到着。
またも役所じみた受付で、食料の提供を受けに来たことを告げると、既定の用紙に氏名、住所、「なぜ食料支援が必要なのか」の理由を記入させられる。
すると、先ほど受け取ったものより3倍ほど大きなビニール袋が、ドカンと差し出された。中にはインスタントラーメン、「冷めてもおいしいカレー」、お米など、およそ1週間分の食料が入っている。
「これは重いな、持って帰れるかなぁ」
Aさんは荷物の大きさに驚いている。
Aさんが実は障害者であり、ほかに受けられる支援がないかを聞いてみたところ、受付の女性はうなりながら言った。
「そうですねえ、何かしら制度は利用できると思いますが、まずは障害者であるかどうかを区役所で確認されたほうがいいと思います。大田区役所の障害福祉課は1階です」
その時点で、時刻は16時半。あと30分で、区役所の窓口が閉まってしまう。たらい回し感はあったが、Aさんと筆者は再びスタコラと蒲田駅の反対側にある大田区役所へと急いだ。