「すでに手遅れ」との声
米ワシントン・ポスト(WP)は4月27日「最新の世論調査でトランプ大統領の支持率は39%だった」と報じた。同時期の支持率はフランクリン・ルーズベルト政権(1933~45年)の3期目以降で最も低いとしている。
関税引き上げが引き起こした金融市場の混乱も収まっていない。
トランプ氏の2度の方針転換(相互関税の一部の90日間凍結、米連邦準備理事会=FRB=のパウエル議長の解任意向の取り下げ)で金融市場の警戒感は和らぎつつあるが、同氏に対する不信感が拭えないのが現状だ。

FRBは4月25日に公表した金融安定性報告の中で「金融資産の売買のしやすさを示す流動性が米国債と米株式市場の双方で悪化している」と指摘し、市場の変動が大きくなりやすくなっていることに警鐘を鳴らした。
世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」を設立したダリオ氏は4月28日「トランプ政権の関税政策が引き起こした混乱が沈静化するにはすでに手遅れだ」と警告を発した。
社債や証券化商品、デリバティブなどのクレジット市場での緊張状態は高まり続けており、リーマンショックのような金融危機が発生する可能性は排除できなくなっている。
トランプ氏は足元の景気悪化を踏まえ、利下げを強く求めているが、インフレ再燃を懸念するFRBがこれに直ちに応ずることはないだろう。
経済の立て直しを公約に掲げたトランプ氏が、自らの失策のせいで深刻な不況を招いたとすれば、これほどの皮肉はないだろう。
一般の共和党員やトランプ氏を支持したヒスパニック系有権者から不満が募る中、MAGA支持者の信頼は揺らいでいないようだ。AFPは4月28日「(MAGA支持者は)『経済は最終的にうまくいく』と楽観しており、現状をまったく気にしていない」と報じた。
筆者は「経済が悪化すればするほど、トランプ氏はMAGA支持者にアピールできる政策を強化するのではないか」と危惧している。