関税の影響は依然不透明、AI投資は継続

 しかし、市場の懸念材料が払拭されたわけではない。特に、4月2日にトランプ米大統領が発表した高関税措置(米政府が言う「相互関税」)とその後の状況変化だ。これらが、同社事業に与える具体的な影響は依然として不透明だ。アルファベットは四半期報告で業績見通しを示さないため、投資家の疑念は残る。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、グーグルのフィリップ・シンドラーCBO(最高事業責任者)は決算説明会で、今四半期(2025年4~6月期)の動向についてコメントするのは「時期尚早」と述べた。

 グーグルの事業自体は関税の直接的な影響を大きく受けないものの、広告主やクラウド顧客には影響を受ける企業が多く含まれるため、間接的な影響が懸念されている。スイス金融大手UBSのアナリストは「特に広告に関する予算コミットメントは凍結されたままになるだろう」との予測を示した。シンドラーCBOは、少額輸入品の関税を免除する「デミニミス・ルール」の変更による広告事業への影響について「わずかな逆風」と述べるにとどめた。

 こうした不透明感の中でも、同社はAIへの積極投資を緩める気配はない。2025年の設備投資額として、過去5年間における年間平均の2倍以上に当たる750億ドルを投じる計画を示している。

株価横ばい推移・反トラスト問題

 今回の好決算は、期待値が比較的低かった中で発表された側面もある。アルファベットの株価は過去1年間横ばいで推移している。AI分野における同社のポジションに対する懸念や、会社分割につながりかねない2つの連邦反トラスト法(独占禁止法)訴訟での一審敗訴を背景に、同社の株価推移は他の巨大テック企業と比べて見劣りする。

 トランプ関税を巡る不安定な値動きが始まって以降、最初に決算を発表した米テック大手(GAFAM)として、アルファベットの業績結果は市場に一定の安心感を与えたかもしれない。しかし、同社をはじめとする巨大テック企業に対する投資家の疑問符は、もうしばらく消えそうにないとWSJは指摘している。