(写真:AP/アフロ)

 2024年5月に米国で提供が始まった、米グーグルのAI(人工知能)を活用した検索サービス「AI Overviews(オーバービュー)」。サービス開始当初は、この機能がニュースパブリッシャーや独立系ウエブサイトへのトラフィック(通信量)を著しく減少させるのではないかと懸念された。だが、今のところ影響は限定的だという。ただしグーグルはこの機能の広範な展開を意図しており、今後ニュースサイトへの流入が減り、それに伴い各社の広告収入が減少する恐れがある。

「トラフィック流入が最大60%減少」?

 米調査会社のイーマーケターによると、AIオーバービューが導入された当初、グーグル検索を介したニュースサイトへのトラフィック流入が最大60%減少するとの憶測が広がった。しかし、導入後の最初の3カ月においてトラフィックが著しく減ったという現象は見られなかった。

 米国のメディア大手である、IAC傘下ドットダッシュ・メレディスによると、グーグル検索における、AIによる回答は、全体のわずか15%にとどまった。ドットダッシュにとって、AIオーバービューによる自社トラフィックへの悪影響は「無視できるほど小さいものだった」という。

 デジタルメディアの米ジフ・デイビスによると、AIによる回答は、同社にとって最も重要な検索キーワードのわずか8%でしか提供されてなかった。同社は「読者の検索体験に大きな変化をもたらすとは考えていない」と述べた。

情報源サイトに移動しなくなる?

 AIオーバービューの特徴は、テキストや画像、動画を扱えるグーグルの生成AI「Gemini(ジェミニ)」の技術を活用している点だ。

 例えば「寮で生活している大学生向けの7日間の食事プランを提案してください。節約と電子レンジ対応を考慮して」と入力すると、「AIによる概要」の欄が一番上に表示され、7日間の朝・昼・夕食それぞれの簡単節約・電子レンジレシピを画像とともに表示する。