AIオーバービューは当初、米国で始まったが、グーグルは24年8月中旬、新たに日本、英国、インド、インドネシア、メキシコ、ブラジルで利用できるようにすると発表した。

 日本語版では、「結婚式に出席できない場合のお祝い」と入力すると、「結婚式に出席できない場合のお祝いは、一般的に出席した場合に渡す金額の半額から3分の1程度が相場です」などと回答する(グーグルの発表資料)。

  典拠となるリンクは下に表示される。だが、この機能があれば利用者は情報源サイトに移動しなくても済むようになり、ニュースサイトなどへのトラフィック流入が減ると懸念された。

米新聞大手やグーグルに悪影響見られず

 米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)は24年4~6月期の決算報告書でAIオーバービューについて言及しなかった。NYTの同四半期における純利益は前年同期比41%増と、大幅に増加した。電子版やパズルゲームなどの「デジタル購読者」は3カ月前から30万人の純増となり、デジタル広告収入は前年同期比で7.8%増加した。

 一方、AIオーバービューはグーグルの広告収入にも影響を及ぼす可能性があると懸念されていた。AI検索では、広告の表示スペースが減り、広告クリック数も減少する恐れがあるからだ。

 しかし、24年4~6月期の同社インターネット広告事業の売上高は、前年同期比で11%増加した。5四半期連続の増収だった。このうち検索連動型広告の増収率は13.8%で、24年1~3月期の水準を維持した。

 AIオーバービュー導入による、NYTやグーグルへのマイナスの影響は表れていないようだ。

「AIオーバービューは将来の大きな脅威」

 ただ、イーマーケターは見解として、「(AIオーバービューは)現時点ではパブリッシャーのトラフィックに大きな影響を与えていないかもしれないが、依然として将来の大きな脅威として存在している」と指摘する。

 グーグルがこの機能をより広範囲に展開するにつれて、パブリッシャーは大幅なトラフィック減少に直面する可能性があるという。これにより、「広告主が他の媒体に支出をシフトさせる可能性も考えられる」という。