米マイクロソフト(MS)と、米グーグルの持ち株会社である米アルファベットがこのほど発表した四半期決算はいずれも好調だった。マイクロソフトは5四半期連続の増収増益、アルファベットは4四半期連続の増収増益だ。生成AI(人工知能)の需要の高まりを背景に、両社が注力するクラウドコンピューティング事業の売上高が20%以上伸びた。
MS、3四半期連続の2桁増収 4四半期連続2桁増益
マイクロソフトが2024年4月25日に発表した2024会計年度第3四半期(24年1~3月期)決算は、売上高が前年同期比17%増の618億5800万ドル(約9兆6600億円)で、3四半期連続で2桁増収を達成した。生成AIへの需要増により、クラウドコンピューティング事業が好調だった。
純利益は20%増の219億3900万ドル(約3兆4300億円)で、5四半期連続の増益だった。2桁増益は4四半期連続。1株利益は2.94ドル(前年同期は2.45ドル)で市場予想を上回った。同日の米株式市場の時間外取引でマイクロソフト株は一時、約5%上昇した。
MS、インテリジェント・クラウド21%増収
マイクロソフトの売上高を事業部門別に見ると、全体の4割強を占める主力「インテリジェント・クラウド」部門は前年同期比21%増の267億800万ドル(約4兆1700億円)。クラウド基盤「Azure(アジュール)」の売上高は31%増加した。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などによるとAzureの増収率は市場予想を上回った。背景には米オープンAIとの提携の一環として注力してきたクラウドAIサービスへの需要の高まりがある。マイクロソフトによると、Azureの増収率の7ポイント分はAI需要によるものだった。この貢献度は前四半期の6ポイントから拡大した。
MS、コンピューティング事業17%増
「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の3割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、前年同期比12%増の195億7000万ドル(約3兆600億円)だった。企業向けの業務ソフトをまとめた「Office 365 Commercial」は15%の増収だった。
マイクロソフトは業務ソフト群などで利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を提供し、収益化につなげる戦略を打ち出している。Microsoft 365で利用可能なCopilotは、個人向けの上位プランを月20ドル(約3100円)、法人向けを30ドル(約4700円)で提供している。
パソコン基本ソフト(OS)の「Windows」などを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の売上高は、17%増の155億8000万ドル(約2兆4300億円)。パソコンメーカー向けWindowsの売上高は11%増加したものの、タブレット端末「Surface(サーフェス)」などのデバイス事業の売上高は17%減少した。検索およびニュース広告は12%増加した。
ビデオゲーム事業(コンテンツとサービス)の売上高は62%増加した。23年10月に買収した米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの買収効果が表れている。アクティビジョン事業はビデオゲーム事業の増収率を61ポイント押し上げた。