(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米マイクロソフト(MS)の検索エンジン「Bing(ビング)」のシェアが一向に伸びていないと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている

Bingの世界シェア3% 訪問者数はグーグルの1%

 マイクロソフトは2023年2月、対話型のAI(人工知能)を搭載したBingを発表。出資する米オープンAIの技術を取り入れた。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は、圧倒的なシェアを誇るグーグルの検索エンジンを直接的なターゲットにしている。同氏は「まったく新しいプラットフォームで新たな競争が始まった」と意気込みを示していた。

 マイクロソフトは以前、グーグルが90%以上のシェアを持つ検索市場では、同社からシェアを1ポイント奪うごとに、20億ドル(約2900億円)の収益がもたらされると説明していた。

 だが、アイルランドの調査会社スタットカウンターによると、23年7月時点のBingの世界シェアは3%だった。このシェアはBingが刷新される前の23年1月と同じ。マイクロソフトは23年2月に対話AI搭載Bingを一部の利用者に公開し、23年5月に一般公開した。イスラエルのウェブアクセス分析企業、シミラーウェブのリポートによれば、Bingの7月の月間訪問者数はグーグルの約1%にすぎず、こちらも1月と同水準だった。

 これについて、マイクロソフトはデータ会社の測定には、Bingのチャットページに直接アクセスしている人が入っていないと主張している。

 生成AIチャットを備えたBingは、検索キーワードに対する回答を、従来の長いリンクのリストではなく、会話形式で提供できるようになった。これによりそれまであまり目立たなかったBingは、最新技術搭載のサービスとして注目されるようになった。しかし、インターネット検索エンジンを利用する人々の習慣はこれまでと大きく変わらず、検索エンジン市場におけるグーグルの優位性も変わらないと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 対話形式の検索は依然まれな方法だと、検索コンサルタントのダニエル・トゥンカルガン氏は指摘している。「新しいBingは可愛いけれども、ゲームチェンジャーではない」(同氏)という。