米IT(情報技術)大手4社の1〜3月期決算が出そろった。景気減速への懸念が高まる中、グーグル(アルファベット)、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタの経営トップは、コスト削減を進めるとともに効率改善に取り組んでいると報告した。
一方、2023年に入って一気に注目された「ChatGPT」のような対話AI(人工知能)について、その基盤技術となる大規模言語モデル(LLMs)への投資が不可欠だとし、投資家に理解を求めた。
米CNBCによると、4人のCEO(最高経営責任者)で共通していたのは、①AIがもたらす事業成長の可能性、②大規模言語モデル構築・運用のための巨額費用とその重要性、の2つだった。
グーグル、生成AIで検索改良
アルファベットのスンダー・ピチャイCEOは、AIに関する自社の目標について「順調に進んでいる」と説明した。
同氏によると、グーグルでは今後も生成AIを慎重かつ計画的に導入し、検索エンジンの改良を進める。同社は広告効果の向上にAIを活用しているほか、AIモデルに入り込む「有害テキスト」を減らす取り組みも進めている。
グーグルでは大規模言語モデルの運用に自社開発の半導体を利用しているが、米エヌビディア(NVIDIA)製の高性能画像処理半導体(GPU)も利用していると明らかにした。GPUは主に画像関連の処理に用いられるが、機械学習や大規模言語モデルのトレーニングにも使用される。人間のような文章表現やリアルな画像を生成するAIシステムを構築するには、こうした高性能半導体が必要になる。
グーグルは先ごろ、AI研究部門を再編すると明らかにした。14年に買収した英ディープマインドとグーグルの研究部門「グーグル・リサーチ」のBrain(ブレイン)チームを統合する。
マイクロソフトCEO、巨額投資が必要
ChatGPTを手がける米オープンAIに出資するマイクロソフトは、オープンAIの大規模言語モデル「GPT」を検索エンジン「Bing」に導入しているほか、業務用ソフト群「マイクロソフト365」にも組み込む。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「AIが最終的に収益増をけん引する」と述べ、すでに同社製アプリの利用拡大につながっていると説明した。例えば対話AIを導入したことで、Bingアプリのダウンロード件数が4倍に増えたという。
同氏は、これらのアプリケーションを運用していくためには大規模なデータセンターが必要で、そのために巨額の投資が必要になると説明した。
「我々は今後もクラウドインフラ、特にAIに投資していく。顧客の変化によって高まる需要に対応していく。その結果として得られる収益は時間とともに増加する」(ナデラ氏)