米オープンAI 開発者会議でのサム・アルトマンCEO(左)(写真:AP/アフロ)

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、米マイクロソフト(MS)と、生成AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を手がける米オープンAI(OpenAI)の提携関係がEU合併規制の審査対象になるかどうか検討していると明らかにした

欧州委「すべての利害関係者から意見を募集」

 大手企業がAI技術への支配力を強めることで、中小企業の新規参入や成長を妨げることを懸念しており、マイクロソフトとオープンAIの提携もその一例になる可能性があるとみているようだ。

 EUは2024年1月9日、仮想世界と生成AIの競争市場に関する意見や、これらの新たな市場においてEU競争法ができることについての意見をすべての利害関係者から募ると発表した。

 加えて、「デジタル市場の大手企業と、生成AIの開発企業との提携が、市場に与える影響を調査している」とし、2社について言及。「マイクロソフトによるオープンAIへの出資がEU合併規則に基づき審査対象になるかどうかを検討している」と述べた。

 欧州委でデジタルや競争政策を担うマルグレーテ・ベステアー上級副委員長は声明で、「仮想世界と生成AIは急速に発展している。これらの新しい市場においても健全な競争を持続することが重要だ」と述べ、「企業が成長して、革新的な製品を提供する妨げをつくってはならない」と強調した。

MS、オープンAIに130億ドル出資 クラウド提供

 オープンAIは20年に大規模言語モデル「GPT-3」を開発した。22年11月にはこれを進化させたGPT-3.5を取り入れたChatGPTを公開した。するとわずか2カ月で月間アクティブユーザー数が1億人に達した。オープンAIは23年3月、GPT-3.5をさらに進化させた「GPT-4」を発表。そしてChatGPTのほか、マイクロソフトの検索エンジン「Bing」をはじめ、各種アプリやサービスがGPT-4を取り入れた。