米グーグルや米アップルは、自社がそれぞれ運営するアプリストアから安定的な収益を得ている。しかし、相次ぐ訴訟や規制当局の監視の強化により、これらの収益源を減らすリスクがある。
Google、アプリ配信訴訟で敗訴
米カリフォルニア州の連邦地裁は2023年12月11日、人気ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」の開発元、米エピックゲームズが、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとしてグーグルを訴えていた裁判で、グーグルの独占を認める評決を下した。
エピックは2020年8月、グーグルのアプリ配信サービス「Google Play(グーグルプレイ)」での決済システムの利用義務や高額な手数料が反トラスト法に違反するとして、カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提訴していた。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、陪審員は同年12月11日、全会一致でエピックの主張を支持し、グーグルの独占を認定した。一方、グーグルは自社のビジネスモデルを支持すると述べ、上訴する考えを示している。
エピックは20年8月、同様の理由でアップルに対しても訴訟を提起した。ただ、その裁判では米連邦控訴裁判所(日本の高裁に相当)が23年4月、決済システムの違法性を認めたものの、配信システムそのものが独占に当たるとしたエピック側の主張を退けた。この控訴裁では、争点となっていた10項目のうち9項目でアップルに有利な判決が下された。だが、アップルは決済システムが反競争的だとした判断を不服としており、上訴する考えを示している。
検索エンジン契約も問題視される
グーグルの持株会社、米アルファベットはインターネット広告収入が売上高の約8割を占めており、アプリ配信に関する訴訟や規制が、同社の業績に及ぼす影響は限定的だとみられている。だが、アプリ配信は検索サービスに次ぐ安定した収益源であり、訴訟の行方によっては事業が脅かされる恐れもある(アルファベットの決算資料)。