ジーナ・レモンド米商務長官が、米エヌビディア(NVIDIA)を名指しして批判したと、米フォーチュンなどが12月3日に報じた。米政府が先端半導体の輸出規制措置を取っているにもかかわらず、エヌビディアは相次ぎ中国市場向けの特別な半導体を開発し、規制を回避している。イタチごっこのようなエヌビディアとの駆け引きに、レモンド氏はうんざりしているという。
レモンド氏「私が即刻阻止する」
レモンド氏は、2023年12月2日に米西部カリフォルニア州シミバレーで開催されたレーガン国防フォーラムで演説し、「中国に、これらの(先端)半導体を渡すことはできない。ただそれだけだ。私たちは彼らに最先端の技術を提供しない」と述べた。
レモンド氏は、「ここにいる半導体企業の幹部の中には輸出規制に批判的な人がいるかもしれない。会社の収益に影響が及ぶからだ。しかし、国家安全保障を守ることのほうが短期的な収益よりも重要だ」とも述べた。
エヌビディアは、米政府の対中輸出規制を受け、2度にわたり技術基準を下回る半導体を開発したと報じられている。
米商務省は22年10月、AI(人工知能)向け先端半導体を中国などの「懸念国」に輸出することを原則禁じた。これにより、生成AIなどのAIシステムで業界標準となっているエヌビディア製GPU(画像処理半導体)「A100」と「H100」の中国への輸出ができなくなった。そこで同社は、規制基準を下回る性能のGPU「A800」と「H800」を開発し、中国などで販売を再開した。
しかし、バイデン米政権は23年10月に輸出規制を強化すると発表。中国などに対する米国製先端半導体・装置の輸出規制を拡大した。この新規制によって、A800とH800も輸出できなくなった。エヌビディアはこの措置を受けて、米政府が新たに定めた性能基準を下回る3種の半導体の開発に着手した。「HGX H20」「L20 PCIe」「L2 PCIe」である。