(写真:CFoto/アフロ)

 AI(人工知能)向け半導体大手の米エヌビディア(NVIDIA)が中国向けに開発中の新製品に遅れが生じていると、ロイター通信が報じた。エヌビディアは、発売時期の延期を中国の顧客に伝えたという。

 発売は2023年1~3月期にずれ込む見通し。これにより、エヌビディアは中国市場において地場のライバル企業である中国・華為技術(ファーウェイ)などにシェアを奪われる可能性がある。

3種の新GPU、「H20」「L20」「L2」を開発中

 発売を延期するのは、開発中の3種のGPU(画像処理半導体)のうち、最も性能の高い「H20」。その発売時期は23年2月、あるいは3月になる可能性があると関係者の1人は話している。サーバーメーカーがこの半導体の統合に関して問題に直面していることが延期の理由だという。

 バイデン米政権は2023年10月17日、中国などに対する米国製先端半導体・装置の輸出規制を拡大すると発表した。エヌビディアはこの措置を受けて、米政府が新たに定めた性能基準を下回る3種の半導体の開発に着手した。「H20」、「L20」、「L2」である。これにより、エヌビディアは輸出規制を回避できる。

 米調査会社セミアナリシス(SemiAnalysis)による仕様分析によると、H20、L20、L2はAI向けの最新機能のほとんどを備えているが、米国の新基準に準拠するために、コンピューティング能力の一部に制限をもうけている。また、情報筋によると、L20の発売時期には遅れがなく、当初のスケジュール通りに出荷される見通し。L2に関する情報は得られていないという。

ファーウェイが百度からGPU大量受注

 エヌビディアは現在、中国のAI半導体市場で90%以上のシェアを持つ。だが、対中規制強化の影響で、今後はファーウェイなどの中国競合が受注獲得のチャンスを得るとみられている。