(写真:CFoto/アフロ)

 中国のインターネット検索最大手、百度(バイドゥ)が中国・華為技術(ファーウェイ)にAI(人工知能)半導体を発注していたことが分かったと、ロイター通信が報じた。バイデン米政権の対中規制強化を受け、中国企業がAI半導体の調達先を米NVIDIA(エヌビディア)から中国企業に切り替え始めているという。

NVIDIA、中国市場向けAI半導体が出荷不可能に

 バイドゥは大規模言語モデル(LLM)「文心(Ernie)」を運営しており、中国の主要なAI企業の1社である。一方でファーウェイは2019年から、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)に対抗する自社AI半導体「昇騰(Ascend)」の開発に取り組んできた。

 米商務省は22年10月、AI向け先端半導体の中国への輸出を原則禁じた。これによりエヌビディアは、生成AIなどのAIシステム開発で業界標準となっている最先端AI半導体「A100」と「H100」を中国の顧客に出荷できなくなった。だが同社はその直後、商務省の規制基準を下回る性能の「A800」と「H800」を中国市場向けに製造・販売した。

 しかし23年10月17日、バイデン政権は中国などに対する米国製先端半導体の輸出規制を拡大すると発表した。規制強化により、エヌビディアはA800とH800も中国企業に販売できなくなった。ロイターによれば、米政府の規制強化は広くそれまでに予想されていた。そこで、バイドゥは23年8月にファーウェイへの発注を開始した。

Huawei製「Ascend 910B」1600個発注

 バイドゥは、ファーウェイがエヌビディア製A100に代わる半導体として開発した「Ascend 910B」1600個を200台のサーバー向けに発注した。ファーウェイは23年10月までに、その60%超に当たる1000個を納入した。関係者によると、契約総額は4億5000万元(約93億円)で、年内に納品を完了する予定だという。