韓国のサムスン電子とSKハイニックスは、米国政府による特別の承認を得ることなく、米国製半導体製造装置を、それぞれが中国に持つ工場に導入できるようになった。ロイター通信や米ニューヨーク・タイムズなどが10月9日に報じた。
安堵するサムスンとSK
それによると、韓国大統領府の崔相穆(チェ・サンモク)経済首席秘書官は、「韓国の半導体企業の中国での事業活動や投資に関する不透明感が大幅に和らいだ。彼らは、長期的なグローバル経営戦略を落ちついて追求することができるだろう」と述べた。
韓国大統領府によると、米商務省はサムスン電子とSKを「検証済みエンドユーザー」リストに指定した。このリストに加えられた企業は、個別の輸出案件について米政府から許可を得る必要がないという。
世界首位・2位の半導体メモリーメーカーであるサムスンとSKは中国の製造施設に数十億ドル(数千億円)を投資しており、今回の措置を歓迎している。サムスンは声明で、「関連政府との緊密な調整を通じて、中国での半導体製造ラインの運営に関する不確実性は大幅に解消された」と述べた。
SKは、「米政府による輸出規制に関する免除の延長を歓迎する。この決定は、グローバルな半導体サプライチェーン(供給網)の安定化に寄与すると信じている」と述べた。
米政府は2022年10月、半導体の対中輸出規制を導入した。ニューヨーク・タイムズによると、このときサムスンとSKに対し1年の猶予期間を設けて両社の中国における増産投資を認めた。だが、これらの期限が迫っていることを受けて、韓国半導体業界には懸念が広がっていた。
ロイターによると、サムスンは陝西省西安市でNAND型フラッシュメモリーの約40%を製造している。SKは江蘇省無錫市でDRAMの約40%を、遼寧省大連市でNANDフラッシュの約20%を製造している。台湾の調査会社トレンドフォースによると、23年6月末時点で、両社は合わせて世界DRAM市場の約70%、NANDフラッシュ市場の約50%を占めた。