英国王立国際問題研究所で講演するマイクロソフトのサティア・ナデラCEO(筆者がスクリーンショット)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

人とコンピューターが自然な形で相互に理解できる

[ロンドン発]世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に向かう途中、米マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)が15日、ロンドンにある名門シンクタンク、英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)に立ち寄り、AI(人工知能)が起こす新たな産業革命について縦横無尽に語った。

 対話型AI「Chat(チャット)GPT」を開発したオープンAIと提携するマイクロソフトは一時、アップルを抜き、世界時価総額ランキングで首位となった。ナデラ氏は「2022年11月にChatGPTが登場してからの1年余りで、このテクノロジーが何なのか大まかな輪郭が明確になってきた。私たち全員が共感できる形でAIが実現したことが最大の出来事だ」という。

 ナデラ氏にとって大きなブレークスルーが2つあった。人とコンピューターが自然な形で相互に理解できるブレークスルーが過去70年に及ぶコンピューティングの歴史の中で起きた。第二に人や場所や物事をすべてデジタル化し、推論できるようになった。「ニューラル推論エージェントという新しいメカニズムを手に入れた」と声を弾ませた。

「私たちが上手くいったと思うもう一つの点は人とともに機能するツールとしてAIを設計したことだ。23年が多くのものを作り上げた年だとすれば、24年は日常的な使用方法という点でさらなる高みへとスケールアップする年になる」というナデラ氏は「AIの利点を取り込めるのは大まかな2つの分野がある」と指摘する。