米アマゾン・ドット・コムはこのほど、米国で原子力発電プロジェクトを支援する契約を締結したと明らかにした。米マイクロソフトや米グーグルも原発の取り組みを発表している。各社は急速に発展するAI(人工知能)を支えるための電源の確保を目指し、原発の再興を推進する。
アマゾン、小型原発に750億円投資
アマゾンは米東部バージニア州で小型モジュール炉(Small Modular Reactor、SMR)の開発を支援するため、米エネルギー大手ドミニオン・エナジーと協力する。総投資額は5億米ドル(約750億円)超。一環として、原子炉と燃料技術の開発を手がける米スタートアップのXエナジーに出資したことも明らかにした。
アマゾンとXエナジーは、2039年までに米国で5000メガワットを超える新たな発電プロジェクトを始める。アマゾンは声明で「これまでで最大のSMR導入になるだろう」と自信を示した。
アマゾンのグローバルデータセンター担当バイスプレジデントのケビン・ミラー氏は「私たちには、増え続けるエネルギー需要に応えながら、同時に気候変動問題にも取り組めるスマートなソリューションが必要だ。Xエナジーの技術は、この目標達成に不可欠だ」と強調した。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、小型原子炉は迅速かつ低コストで建設できる可能性がある。これに対し、従来の巨大特注プラントは建設期間が長引き、コストが当初予算を数十億ドル(数千億円)上回るといった問題がある。
アマゾンとXエナジーは取り組みの一環として、西部ワシントン州の発電事業者、エナジー・ノースウエストと契約した。これにより当初稼働する4基のSMRから電力を調達する。当初の出力は320メガワットだが、オプションとして960メガワットに増やすことも可能だという。これは、米国の77万世帯以上に電力を供給できる量に相当する。30年代初頭の本格的な稼働を目指している。
これに先立つ24年3月、アマゾンは、東部ペンシルベニア州にある原子力施設に隣接するデータセンターを購入する契約を締結したと明らかにしていた。このデータセンターは、米電力会社タレン・エナジーが所有する発電所から電力供給を受ける。