キャベツの種。薬剤コーティングで着色されている(写真提供:市場秀信)

「種もいつ値上げされるか分かりません」

「世界中から取り寄せているキャベツの種もいつ値上げされるか分かりません。さらに最大の課題は人手不足です。キャベツの収穫は気温が涼しくなる午前2時から始まり、朝食休憩をはさんで午前10時ごろまで続けます。朝のうちに収穫すると鮮度を保つことができるからです。

 作業は私たち夫婦と手伝ってくれる3人の計5人。彼らはミャンマー、カンボジア、ベトナムから特定技能ビザで来日した外国人です。地元の日本人が手伝ってくれることはほぼありません」

朝焼けのなか手作業で行われるキャベツの収穫(写真提供:市場秀信)

トラクターでの一斉収穫は不可能

 キャベツ畑での実際の作業はこうだ。

「およそ1.2キロのキャベツの根本を包丁で切って、段ボールケースに一つ一つ詰めていくので体力を使います。トラクターで一斉に収穫するというのは不可能です。それをやるとキャベツが割れてしまって売り物にならなくなる。

 1人あたりの手作業が1日計500箱とすると、キャベツの数はざっと4000個から5000個。これが1日1人あたりの割り当てです。コロナ禍で宿泊客がいなくなってしまった際、地元のホテル従業員がアルバイトで来てくれましたが、あまりのキツさに数日で音を上げてしまいました。ミャンマーやベトナムの人は工場で働くより2倍の給料がもらえるので、毎日真面目に仕事をしてくれています」

手作業で収穫されたキャベツは箱詰めにされて搬送される(写真提供:市場秀信)

 人手不足に加えて後継者問題もキャベツ農家を直撃している。